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2012年12月12日 俺の遺産は、任せたよ

自分が死んだ後の財産を誰に渡すのかを遺言執行者に任せた為に相続人と遺言執行者が争う事になった事例を紹介いたします。
事例の紹介の前に「遺言執行者」ってどんな人なのかをご説明します。
「遺言執行者」って聞いた事ない方やなんとなく聞いた事あるという方はまず、先に”遺言執行者ってこんな人”をお読み下さい。

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■用語の説明

遺言執行者ってこんな人
■判例の解説
受遺者の選定を遺言執行者に委託する旨の遺言

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 用語の説明

<遺言執行者ってこんな人>
一言でいいますと、「遺言の内容を実現する者」のことです。
遺言の内容を実現する為にどのような権利が与えられているのかどのような人がなれないのか等の詳細は、民法で定められています。
沢山の規定がありますが、主なものを抜粋してなるべく簡単に説明します。

●遺言執行者の権利と義務
  • 相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為ができるという広大な権利義務を持ちます。【第千十二条1項】
  • 委任の際に受任者へ課される義務や与えられる権利と同様のものを持ちます。【第千十二条2項】
    ■義務
    * 善良な管理者としての注意義務があります。
    →これは、自分の物を扱うのと同じ注意では足りず、とても大切な物を扱うんだという注意が必要という事です。
    * 相続人から請求されたら、いつでも業務の状況を報告しなければなりません。また、業務が終了した後は、遅滞なく業務の経過と結果を報告しなければなりません。
    * 相続財産の管理等を行なう際に受け取った金銭等が有る場合には相続人に引き渡さなければならなりません。
    * 相続人のために自己の名で取得した権利があれば、その権利を相続人に移転しなければなりません。
    * 相続人に引き渡すべきお金などを自分の為に使ってしまった時は利息も支払わなければなりません。
    更に損害を与えた場合には賠償の責任を負います。
    ■権利
    * 業務を行なう上で必要な費用を支出した場合、相続人に対してその費用と利息を請求することができます。
    * 業務を行なう上で必要な債務を負担した場合、相続人に対して債務の弁済をする事を請求できます。
    * 業務を行なう上で自分に過失なく損害を受けたときは、相続人に大して賠償を請求することができます。
  • 遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければなりません。【第千十一条1項】
  • 相続人の請求があるときは、相続人の立会いの上で自らが相続財産の目録を作成するか又は公証人に相続財産の目録を作成して貰わなければなりません。【第千十一条2項】

遺産相続こんなときあなたは・・・事例をご紹介しております





●相続人の義務
  • 相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることはできません!【第千十三条】

●遺言執行者は誰の代理人?
  • 遺言執行者は、相続人の代理人です。【第千十五条】
    ※本当は、亡くなられた方(被相続人)の代理人が正しいのでしょうけど亡くなられた方を代理するというのが、不自然と考えられる為にこのようになっています。

●遺言執行者は誰でもなれる?
  • 未成年者と破産者は、遺言執行者となれません。【第千九条】
    ※つまり、相続人や受遺者でも遺言執行者になれるという事です。但し、遺言の際に相続人などの知識や経験に不安がある場合には、行政書士などを併せて指定する事もできます。

●遺言執行者はどうやって選ぶ?  
  • 遺言で一人又は数人の遺言執行者を指定する事ができます。若しくは遺言で遺言執行者の指定を第三者にお願いすることもできます。【第千六条】
  • 遺言執行者がないとき、又はなくなったときには、利害関係人(相続人など)が家庭裁判所に選任を請求できます。【第千十条】

●遺言執行者が複数人の場合はどうなる?
  • 業務の執行は、過半数で決めます。但し、遺言者がその遺言で決め方についての意思を示している場合その意思に従って決めます。【第千十七条】

●遺言執行者の報酬はいくら?
  • 遺言者が遺言で報酬額を決める事ができます。報酬額が決まって無い場合には、家庭裁判所が相続財産の状況その他の事情によって報酬決める事ができます。【第千十八条1項】

 判例の解説

それでは判例の解説に入ります。
~最高裁判所 平成5年1月19日 第三小法廷 判決~
土地建物所有権移転登記抹消登記、遺言執行者の地位不存在確認 についての裁判です。
~その内容を以下に物語にして説明します。~
登場人物や登場人物が考えた事等は、フィクションです。

今回の主人公は、北島さんです。
北島さんは、一人暮らしの方でした。
親も既に亡くなっており、北島さんの相続人となるのは、妹達です。
しかし、北島さんと妹達は仲が悪く長い間絶縁状態となっています。

そんな北島さんは、自分が亡くなった後の事をアレコレ考えました。
もし、このまま自分が死んだら、自分が頑張って稼いで買った不動産等は仲の悪い妹達の物になってしまうなぁ。
妹達には、残したくないなぁ。
だからといって見知らぬ人にあげるのも嫌だなぁ。
頑張って考えましたが、上手く考えは纏まりませんでした。
しかし、とりあえず、自分の死んだ後の事をお願いできる人を探しました。

暫く経ったある日、永沼さんという方が知り合いから紹介され、北島さんの自宅を訪問しました。
いろいろな話をしていくうちに北島さんは、永沼さんがとても信用できる人だと感じました。
そこで、永沼さんに遺言の執行をお願いする旨の遺言書を作成して、その遺言書を永沼さんに託しました。
更に永沼さんが帰る際に、数日後にまた来てくれるようにお願いをしました。
実は、まだ、自分の死んだ後の財産の譲り先を悩んでいたのです。
もう数日しっかり考えて、その意思を永沼さんに伝えようと思ったのです。

数日後、永沼さんが訪問すると
「一、発喪不要。
 二、遺産は一切の相續を排除し、
 三、全部を公共に寄与する。」
という記載の遺言書を作成し、永沼さんに託しました。
その際に、自分は天涯孤独という事を永沼さんに話しました。
そのようなやりとりの2年後に、北島さんは亡くなってしまいました。

そこで、永沼さんは、北島さんの遺言を執行する為の調査をしたところ北島さんには、相続人として妹達がいる事が分かりました。
その為、北島さんの妹達に自分が遺言執行者になる事を伝えました。
なんと、妹達は、北島さんの不動産を自分達名義にしてしまいました。

永沼さんはこのままでは北島さんの遺言が執行できない為、裁判所に訴えました。

裁判では、「全部を公共に寄与する。」と特定の遺贈先を指定せずに遺言執行者に特定の遺贈先を選ぶ事を委任する事ができるのか?
つまりそのような遺言書は有効なのかという事が争点になりました。

<裁判の結果>
・遺言書は有効
~裁判所の遺言書に対する考え方(分かりやすく変換してます)~
基本的には、遺言の解釈は、遺言書に書いてある文言を遺言者の意思として尊重し解釈すべきです。
しかし遺言書に書いてある文言だけでは解釈できない場合には遺言者が遺言書作成に至った経緯及びその置かれた状況等を考慮することで解釈することが遺言者の意思を尊重することになります。

そこで、今回の北島さんの件に関しては、以下のように考えます。
北島さんの遺言書の文言や遺言書作成時の北島さん置かれた状況から北島さんは、自らの遺産を妹達法定相続人に取得させず、すべて公益目的のために役立てたいという意思を有していたことが明らかです。
遺言書で遺産を「公共に寄与する」としているのは、公共に寄与する団体を遺産の取得先に指定していると考えられます。
また、永沼さんを遺言執行者に指定した事と併せて考えると、永沼さんに公共に寄与する団体の中から、遺産の取得先を選んで貰う事を北島さんが望んでいたと解釈するのが相当です。
また、選定先が公共に寄与する団体に限定されているので遺言執行者が権限乱用をする危険がありません。
その為、遺言書は有効です。

◆参考文献◆
有悲閣 家族法判例百選第7版 174、175頁
受遺者の選定を遺言執行者に委任した遺言の効力(新井誠)


~こうした事を防げないか?~
一番簡単な方法は、遺贈先をきちんと指定しておく事です。
今回の判例では、公共の寄与する団体であった為に遺言執行者が選定することを認められていますがそうでは無い場合には、認められるにはより厳しい条件が付けられるのではないかと思います。



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