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2014年10月08日 離婚後300日問題
離婚は、離婚届を出したら全て完了とはいかない場合がありますよね。
第一に思い浮かぶのは、養育費ではないでしょうか?
離婚しても養育費の支払いがある場合は、全て完了とは言いがたいですよね。
養育費以外にも、離婚後300日問題というのがありますね。
離婚後300日問題について勉強したいと思います。
■離婚後300日問題
■編集後記
→類似記事「300日問題の問題解決の問題」
→類似記事「300日問題を解決したい」
■離婚後300日問題
○離婚後300日問題とは
下記の状況等で出生の届出をしない事で子が無戸籍となってしまう事です。
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民法の第七百七十二条第二項に規定された嫡出の推定により、離婚後300日以内に生まれた子は基本的には前夫の子として出生の届出を行う必要があること。 |
・ |
それを避けるためには、「嫡出否認の手続き」または「親子関係不存在確認の手続き」を行う必要があること。 |
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「嫡出否認の手続き」または「親子関係不存在確認の手続き」のどちらも元夫の関与が必要であること。 |
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しかし、DV等の問題によって元夫の協力を得られない(得たくない)。 |
〜民法抜粋〜
(嫡出の推定)
第七百七十二条 |
妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。 |
2 |
婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。 |
○「嫡出否認の手続き」と「親子関係不存在確認の手続き」
1.嫡出推定
(1) |
婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消 若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子には 原則として嫡出推定が及びます。
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(2) |
しかし、婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消 若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子であっても 裁判手続において嫡出推定が及ばない事情が証明された場合には、嫡出推定が及びません。
… |
妻が子を懐胎すべき時期に、既に夫婦が事実上の離婚をして夫婦の実態が失われ、又は遠隔地に居住して、夫婦間に性的関係を持つ機会がなかったことが明らかであるなどの事情が存在する場合や夫が海外出張だった、刑務所へ収監されていた等の場合。
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2.嫡出否認の手続き
この手続は、元夫が申立人となって行う事になります。
更に子の出生を知った時から1年以内に行わなければなりません。
3.親子関係不存在確認の手続き
こちらの手続きは、元夫だけではなく子も申立人となれます。
また、期間の定めがありませんので何年経っても行えます。
○元夫側のメリット
「嫡出否認の手続き」や「親子関係不存在確認の手続き」に協力しなくても元夫側としては困らないと考える方もいらっしゃるようです。
しかし、自分の子として戸籍が作成されたら、
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法律上の父として扶養義務を負う |
・ |
自分の相続人となる |
という事も含めて本当に困らないのかを考えて頂きたいです。
そもそも、憎い相手は元妻であって生まれてきた子は関係無いので意地悪な事は考えないようにして欲しいと思います。
○元夫の協力が不要なケース
以下のケースであれば、元夫の協力無しに出生の届出が行えます。
1. |
「元夫を父としない出生の届出」
平成19年5月21日以後に生まれた子からは、婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子であっても離婚後に懐妊した事についての医師の診断がある場合には、嫡出推定が及びません。
この場合には、「元夫を父としない出生の届出」が行えます。 |
2. |
「実の父を相手とする認知調停」
上記に記載しました「親子関係不存在確認の手続き」が行えるような場合には、「実の父を相手とする認知調停」という方法もあります。
但し、裁判官の判断で「実の父を相手とする認知調停」では無く「親子関係不存在確認の手続き」をすべきとされる場合もあるようでかならず「実の父を相手とする認知調停」が認められるというものではないようです。 |
■編集後記
離婚関係の手続きは、女性に不利な内容がいくつもあるように思います。
この不利な内容は、すぐに改善されるものではありません。
現実的な対応としては、不利な内容を良く把握した上で行動する事だと思います。
しかし、焦って離婚の交渉をすると相手方に足元を見られてしまう可能性も高いので、難しいですね。
なるべくひとりで問題を抱え込まずに信頼出来る専門家に相談される事をお勧めします。